> マーケティング > 人は、確率を正確にとらえるのが苦手です。人間が確率に対する感じ方を表した「確率加重関数」に表れているように、低い確率は過大評価され、高い確率は過少評価されます。(阿部誠)

人は、確率を正確にとらえるのが苦手です。人間が確率に対する感じ方を表した「確率加重関数」に表れているように、低い確率は過大評価され、高い確率は過少評価されます。(阿部誠)

<引用>

阿部誠 『行動経済学』(新星出版社 2021年)

「客観的な確率が、0%や100%に近くになる「ほぼ確実なとき」に特に、低い確率を過大評価し、高い確率を過少評価する傾向が顕著になります。・・・当たることがまれ(0.000005%(500万人に1人)の1億円の宝くじに希望を感じて、めったに起こらない飛行機事故を過剰に恐れたりするのは、そのためです。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

<考察>

人は、客観的に確率を感じることが苦手のようです。

こんな時、新たな学問分野である「行動経済学」が活用できます。伝統的な経済学では、人間は合理的で自制的、意思決定にあたっては極めて利己的に考え行動すると想定されて理論構成されています。しかし、現実の人間は、必ずしも最もメリットがある行動ばかりをしません。伝統的な経済学と矛盾する人間の行動を解明するために登場したのが、「行動経済学」です。「心理学」の要素を加えることで、経済学の限界や矛盾を説明しようとする試みです。「行動経済学」は、「マーケティング」の別称ともいえます。

特に、命や生活にかかわることに、人間は確率を誤って認識がちのようです。「この手術の成功率は、99%です」と言われた場合、実際の確率よりかなり低く感じる人が多いようです。たった1%の失敗の確率に対して、大丈夫かなと不安に感じる気持ちになりがちです。不思議な主観的な感覚で、確率を捉えてしまいがちな人間の心理をよく理解して、実際のビジネスに活かしていこうとする視点が、とても大切になってくるわけです。