利益は、引き算でなく、足し算で考える。 (佐藤誠一)
<引用>
佐藤誠一 『野望と先見の社長学』(日本経営合理協会 1994年)
「企業の究極的な目的は、利益を出すことでなく、産み出された付加価値を、どう配分するかということにある。それが経営である。・・社長は、「付加価値(企業がさまざまな協力者を得て産み出した価値)を、正しく分配できる人」でなければならない。」
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<考察>
著者は、外部からの協力、社員、資本が一体となり、価値を生み出して、さらに高めていくことが経営の本質だと主張します。
また、利益を引き算でもとめる一般的な思考には、弊害があると指摘します。例えば、人件費という経費を差し引くと利益が減少するという思考ではなくて、企業が協力しあって産み出した価値を、どれだけ社員に分配することが適正であるのか、配分のバランスという思考が経営者に必要だと考えています。
過去のデータから、配分先ごと(社員、外注先、先行投資、経営者、社会、内部留保など)の比率をつかみ、これからどんな企業にしたいか、将来の理想像にそって、配分を考えることを著者は勧めます。日頃のコスト意識中心で考えると、どうしても、利益を上げるためには、いかに経費を削減するかをベースに思考してしまいがちです。貢献度に応じて、それぞれの協力者に配分する、違う視点で経営を考えると、新しい発見があるはずです。価値を足し合わせて、皆で作り上げていくと考えると、「利益は、引き算でなく、足し算で考える」という意味が理解できてくると思います。