> 生きがい・働きがい > 受験ができることは特権的なこと、そもそも勉強ができることは贅沢なことなんです。(林 修)

受験ができることは特権的なこと、そもそも勉強ができることは贅沢なことなんです。(林 修)

<引用>

林 修「受験必要論 人生の基礎は受験で作り得る」(集英社 2013年)

「世の中には受験したくても家庭の事情でできなかった人、経済的な理由で大学に進学できなかった人もたくさんいる中で、受験生には、『受験できることは特権的なことである』と心しておいてほしいと思います。

そもそも勉強できるということは贅沢なことなんです。しなければ生きていけないわけでなく、やらせてもらえるということは非常に恵まれていることなんです。・・・大学とは自分の可能性を探す場所です。そんな素敵な場所への挑戦を親がさせてくれる環境にある。・・・なのに、受験に真剣に取り組めないということは、甘えているのではないでしょうか。・・・やりたくないならば、やらないほうがいい。逆に、やらせてもらえるならば真剣に向き合いなさい、と言いたい。・・・日本の受験は公平なシステムだ。階級差別もなければ、写真審査もない。答案として書いたものだけで判断してくれる、こんな公平なものはないですよね。・・・受験にはフライングもスピード違反もない。・・・競争をあおるのはよくないというが、社会に出たら、みんな手をつないで仲良くやりましょうとばかりはいかないでしょう。厳しい世の中で、自分はどうゆうところで勝負したら勝てるのか、逆に負けるのかを知らなければならない。受験勉強という『物差し』で測ったときに負けでも、社会に出たときに別の『物差し』で勝てばいいんです。そういう感覚を持つことは、真剣に生きることにつながります。」

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<考察>

受験勉強でなくても、他に打ち込ことがあるのだったらそれでいいと著者は語ります。プロ野球をめざす選択が明確にあるような人は、大学受験しなくてもいい。ただし、ハイテーン(16から18歳)の頃に、何か1つのことに打ち込むことは非常に大切だと訴えています。そうでないと、非常に骨がない、基礎に欠けた人間になる危険性がある。とにかく、16から18歳の時期の過ごし方というのは、とても大事だと強調されています。

受験勉強の一番のデメリットは。受験の勝者が全人的に優れた存在であるかのような錯覚をして、敗者を社会的に不当に低く評価する傾向が生じていることだと、著者は指摘します。社会がたくさんの『物差し』で、多様な価値観を持ち、お互いを尊重できるような精神性を育むように改善されることを望みます。