> ビジネス書の書評 > 主人公はモモという女の子で、ある特殊な能力を持っています。小さなモモにできたこと、それは他でもありません。相手の話を聞くことでした。(ミヒャエル・エンデ)

主人公はモモという女の子で、ある特殊な能力を持っています。小さなモモにできたこと、それは他でもありません。相手の話を聞くことでした。(ミヒャエル・エンデ)

<引用>

ミヒャエル・エンデ 大島かおり訳「モモ」(岩波書店 2005年)

「ほんとうに相手の聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこの点でモモは、他に例のないすばらしい才能を持っていたのです。モモは、いわば相手の中にすっかり入りこんで、その人の考えや、その人の本当の心を理解することができました

モモに話を聞いてもらっていると、どうしてよいか分からずに思い迷っていた人は、急に自分の意思がはっきりします。引っ込み思案の人には、急に目の前がひらけ、勇気が出てきます。不幸な人、悩みのある人は、希望と明るさが湧いてきます。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

<考察>

本当に相手の話が聞けていますか?

モモの寓話を通じて考えさせられます。本当に相手の話を聞くことよりも、自分が伝えたいことに意識が向いて、相手の話を遮って会話の流れを切ってしまうことがあります。本当は、もう少し考えや思いを引き出して本心で語り合えたかもしれないのに、自分の考えを押し付けてしまったときや、表面的に受け止めるだけで済ましてしまったときなど。

モモの物語では、「モモのところに行ってごらん!」が合言葉なのです。難しいですが、モモのように相手の話をほんとうに受け止められるように。