旅をしなさい。どこへむかってもいいから旅に出なさい。世界は君やあなたが思っているほど退屈な所ではない。(伊集院静)
<引用>
伊集院静「大人の流儀」(講談社 2011年)
「若い人から、「何もしたいことがないんです。でもこのままではいけないと思うんです。僕は、何をしたらいいのでしょうか?」と問われることがある。・・・その時、私は「旅をしなさい。」と答える。・・・すると何人かの若者が反駁して「旅をして何があるのですか?」という。・・・私は相手の目を見て言う。「何があるかは、旅をしてみればわかるでしょう。」」
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<考察>
世の中は、今すぐに答えを求めたがる。テレビのクイズ番組のように、正解、不正解を断定する。
正しい答えなど、どこにもないとやがて分かるのに、皆は答えがあると信じているようだ。それならば、立ち止まっているより、旅をしてみると分かることがあるよ、と著者は語ります。
人間は本来、旅をする生き物ではないか。アフリカの人類の起源から、ユーラシア大陸を超え、ベーリング海峡を渡り、北や南アメリカに至った祖先を思うと、人が旅することは本能的なもののようだ。旅先で出会う人々、予想外の体験、答えをさがして旅に出てみると私たちは、人間の多様性に驚くはずだ。さまざまな価値観と真理にじかに出会うことで、納得することが出来てくるように思えます。