> ビジネス心理学 > 重要な前提が一つあります。リーダーと部下は、「対等」である。リーダーと部下は「役割」の違いにすぎず、人間としては対等である、ということです。(岸見 一郎)

重要な前提が一つあります。リーダーと部下は、「対等」である。リーダーと部下は「役割」の違いにすぎず、人間としては対等である、ということです。(岸見 一郎)

<引用>

岸見 一郎 小野 田鶴(構成・編集)「叱らない、ほめない、命じない。ーあたらしいリーダー論ー」(日経BP 2021年)

「リーダーであることがつらい。リーダーなんてなりたくない。・・・今の時代は、そういう人のほうが多いようです。・・・しかし、誰かがリーダーという役割を引き受けないと組織は機能しません。・・・リーダーという仕事は、やりがいはあるものの難しい仕事であり、その難しさが分かっているならば、尻ごみするほうが自然・・・自信なくてなくていい。・・・尻ごみするくらいの人のほうが、いいリーダーになれると考えるからです。」

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<考察>

リーダーと部下が対等であるという論理から、著者は次のように3つの原則を大切にしてほしいと語ります。

部下を叱ってはいけない。部下をほめてはいけない。部下に命令してはいけない

これは、力でなく、言葉で協力関係をきずく、「民主的なリーダーシップ」の姿勢のようです。ほめるというのは、世間では良いこととされますが、親が子に対するような「縦」の関係性で、上の立場の人が下の立場の人に下す評価といえます。対等の関係では、ほめません。「えらいね」「すごいね」ではなく、「ありがとう」の感謝をつたえればいいようです。叱ることも、威圧して怒ることと同じ意図ですし、命令することも、対等の関係では使用しません。叱らず、命令せず、相手に「言葉」によって考えてもらう態度で接すればいいのです。リーダーは、組織の「役割」なんだと理解できれば、自信のない人こそ、よきリーダーになれるという指摘もうなづけます。威張らず、奢らず、リーダーの役割の難しさに、恐れず、ひるまず、自然にふるまいたいですね。協力し合い、助け合うチームへの貢献を第一に考えると、リーダーの役割にブレがなくなり、しずかな勇気をもってすすめるようです。