> 税金の本質 > 法人が「合理的経済人」とすれば、個人は義理と人情による「生活人」だ。(鷹野保雄)

法人が「合理的経済人」とすれば、個人は義理と人情による「生活人」だ。(鷹野保雄)

<引用>

鷹野保雄 『プロの税務手法』(ぎょうせい 1999年)

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<考察>

法人は、あくまで利益追求のために存在して、経済的な合理性を基準に判断すると考えるのが、法人税の世界です。対して、所得税は、人間の生活すべてに対応するため、いつも合理的な経済法則のみの社会に生きる存在でなくて、義理もあれば人情もあって、思いやりのある世界に住んでいる人を対象にしています。

違いが顕著にあらわれる場面として、法人は土地を貸すのであれば、必ず見返りをもとめ地代をもらいますが、個人の場合は、親が子供に土地を貸しても地代をもらわないこともあるし、子供に貸したお金から利息をもらわないこともあります。

商売をしている商人は、利益をもとめる「合理的経済人」ですが、お店から一歩奥に入れば、家庭のよきパパや夫という役目もあるので、プライベートとビジネスの両面がある個人は、根本的に法人とは異なります。法人には、基本的にプライベートの活動はありません。こうした違いが、法人税と所得税にあらわれて、それぞれの税金の本質的な違いとなっています。