> 会計思考 > 損益計算書は「原因白書」。原因をこまかく経営活動にそって分類された内訳明細です。(田中靖治)

損益計算書は「原因白書」。原因をこまかく経営活動にそって分類された内訳明細です。(田中靖治)

<引用>

田中靖治 『経営がみえる会計』(日本経済新聞社 1999年)
「決算日に、財産がいくらあるかを示すのが「貸借対照表」(バランスシート B/S)。つまり、ストックとしての結果です。なぜ、そのような結果になったのかを示すのが、「損益計算書」(ピーエル P/L)で、原因となるフローの情報がわかります。「損益計算書」(P/L)は、どうやって儲けを出したのか、その原因に着目して経営成績を分析することに適しているつくりです。結果だけでは、わからない原因も、理解できるわけです。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

<考察>

「損益計算書」(P/L)は、経営者の方にとっても、感覚的に分かりやすいつくりです。売上から始まって、「売上原価」、「粗利益」(売上総利益)、かかった経費が「販売費及び管理費」にまとめられていて、それを差し引いた本業の利益が、「営業利益」として表示されています。経営の活動の原因にあわせて、1期間のフロー情報が分類表示されています。本業以外の営業外に関する金融取引などの損益を加味して経常的に生じる利益が「経常利益」です。臨時特別な事情による損益は経常的な活動と区別した方が分析には有効ですから、これらの原因は特別損益とされます。これら企業全体の状況を網羅した利益が、「税引前当期純利益」です。法人税等をさらに差し引いた最終的な利益が、「当期純利益」となります。「損益計算書」(P/L)が、「原因白書」だと分かってしまえば、一見ややこしそうな構造がすんなりつかめます。全体から詳細にわたって段階を踏みながら原因ごとに分類してあるため、経営成績を利益の源泉に沿って、確かめることが出来るように表記されているわけです。