> 生きがい・働きがい > 子どもが劣等感を持っても「次は勝てる」「この分野なら勝てる」という道を見つけるのが、親の役割だ。(和田秀樹)

子どもが劣等感を持っても「次は勝てる」「この分野なら勝てる」という道を見つけるのが、親の役割だ。(和田秀樹)

<引用>

和田秀樹「アドラー流 「自分から勉強する子」の親の言葉」(大和書房 2016年)

「アドラー心理学の最大の特徴は「人は何かの原因によって行動するのではなく、目的に向けて行動する」と捉えたところにある。

・・・大切なのは、子どもの過去の失敗にくよくよしたり、叱ったりすることではない。・・・子どもが適切な目的を持つように、親の立場からサポートしてあげる必要がある。そのためには、子どもが関心を持っていることに、親はもっと関心を持つべきだ、とアドラーは言う。

・・・人と比較したときに劣っているものを「劣等性」といいます。これに「恥ずかしい」という感情が伴うと「劣等感」となる。・・・劣等感が過剰になると「自分はダメだ、自分には価値がない」というコンプレックスに陥る。・・・劣等感をはね返すうえで重要なポイントは「劣等感を持っているものとは別の分野で勝つ経験をする」ことだ。」

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

<考察>

世の中で勝っていけるような能力を身につけることで、劣等感をはねのけるだけでなく、自信を持って生きていけるようになります。

だから、子どもの劣等感を否定するのでなく、優越性の追求をサポートしてあげるのが親の役割だと本書は強調します。そして、ただ漠然と思うのではなく、どんなことでもいいので「勝てた」という実体験を持たせていくことが大切だとします。

「勝てた」という経験を持たせることは、子どもを勇気づけます。さらに、アドラーは、他人の評価を気にするのではなく、自分でやりたいことをやって成功すること、「自分のために勝つ」ことが必要だとします。

たとえ「結果が出なくても、途中のプロセスを褒めることが重要」という考えもありますが、著者は否定します。一見すると愛情のある働きかけのようですが、「結果は残念だけど、よくやった、すごいね」など言われると、子どもはバカにされた気分で委縮します。子供の自信につながえるのは「自分は成功した」という実感なのです。これは、親と子の関係ばかりでなく、職場の上司と部下の関係においても同様ですね。