> ビジネス書の書評 > 医師は「患者さんのため、世の中のために労を惜しまず働いて恩返しをする」という意識を持つのは、当然です。(心臓血管外科医 天野篤)

医師は「患者さんのため、世の中のために労を惜しまず働いて恩返しをする」という意識を持つのは、当然です。(心臓血管外科医 天野篤)

<引用>

心臓血管外科医 天野篤 『天職』(プレジデント社 2021年)

「自分ひとりの力で、医師になれるわけでは、ありません。・・・今の学生は、医学部に入学して医師になるまでの過程で、公費が投入されています。6年間の医学教育費は、学生一人当たり約1億1,000万円かかっています。・・・本人の学費等でまかなえない額は、国民の税金で支えられて医師は育成されているのです。・・・私自身は、3年の受験浪人生活を送ったので、周囲の支えを人一倍感じてきましたから、ずっとそういう気持ちで患者さんの命と向き合ってきました。そのおかげで、さまざまなものを託され、自分を成長させてくれたと思える出会いや経験があったことで、一人前の医師になれたと思っています。」

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<考察>

著者は「私の前に来た患者さんは、絶対に治してあげたいのです。自分に「託された命」なのですから」という使命感が、わたしという医師を強くしてくれたと語ります。

本書のタイトルは『天職』ですが、著者は、必ずしも順調な道のりばかりでなく、紆余曲折があって挫折や劣等感で、絶望の日々を乗りこえての『天職』につながってきたようです。人生なんとかなるから、悲観せずに、ダメな時は誰かの支えにすがりながら、いつか恩返しすることで報いればいいと、前を向いてすすむ希望をおしえてくれる書籍だと思います。