> ビジネス心理学 > コーチングでは、「なぜ」目標を達成しなかったんですか?ではなく、具体的にいうと「なに」が目標達成の障害になったんですか?とききます。(鈴木義幸)

コーチングでは、「なぜ」目標を達成しなかったんですか?ではなく、具体的にいうと「なに」が目標達成の障害になったんですか?とききます。(鈴木義幸)

<引用>

鈴木義幸「新 コーチングが人を活かす」((株)ディスカヴァー・トゥエンティワン 2020年)

「コーチングでは、「なぜ」のかわりに、「なに」を使うことを提案しています。・・・子どもの頃から、「なぜ」と聞かれるのは、ほとんどが悪いことをしたときです。良いことをしたときに誰も「なぜ」とはいいません。だから、「なぜ」という言葉を聞くと、責められることを想定して、人は防衛体制に入るのです。・・・「なに」と聞けば、相手を警戒させずに答えやすくなります。」

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<考察>

コーチングでは相手に質問をしていくわけですが、「君、これはどう思う」はコーチングではないそうです。

問いかけている方に「答え」があって、それを相手に考えさせようとする上からの質問は、コーチングを誤解した使用のようで、詰問といえます。コーチングは、問いかけによって、一緒に相手の内側にある新たな発見をうながすアプローチだと本書は主張します。コーチングを通じて、未来を主体的に創造してほしいという気持ちが大切なようです。

実際に、相手に問いかけるとき、いきなり大きなテーマでなくて、簡単に答えられる小さな質問をかさねていくことも大事です。たしかに、「どんなビジョンを持っていますか?」「会社をどうしていきたいですか?」「会社をどう変えていく必要がありますか?」など、いきなり問われても、とまどうばかりで、深く考えないで、とりあえずいい加減に答えて終わらせてしまいたい衝動にかられます。人は、不快なことはなるべくしたくないわけですから、抵抗感なく答えらえる小さな質問で慣れるように、はじめることがコツのようです。

また、「なぜ?」という言葉には、相手の責任を追及する響きがあります。

客観的には「なに」が問題だと考えましたか?など、表現をかえて答えやすくしたいところです。「なぜ?」は、コーチングで使用する場合でなく、原因を究明するような場面では有効です。ふかく内面をさぐりながら、新しい気づきを発見していこうとするコーチングでは、相手が答えやすくなるように、問いかける側が、状況に応じて相応しい表現にアレンジしていく「優しさ」が必要だと思います。