> イノベーション > アメリカとの力の差は、歴然としています。綱引きを10人と100人でするようなもので、まともにいったら負けるのは分かっています。(山中伸弥)

アメリカとの力の差は、歴然としています。綱引きを10人と100人でするようなもので、まともにいったら負けるのは分かっています。(山中伸弥)

<引用>

山中伸弥 平尾誠二・惠子 『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の1年」』(講談社 2017年)

「iPS細胞の研究でアメリカは、ものすごい額の研究費を出している。・・・相手は100人で、こっちは10人。力勝負で挑むのは無理なんで、そこはもう工夫するしかない。相手が気づかないような、大切だけど向こうの人が面倒くさがってやらないことを、日本がやることが大事です。・・・アメリカのハーバード大学でも、iPS細胞の開発をやっています。・・僕らは手作業で遺伝子の機能を1個1個調べていたんですが、向こうは莫大なお金をかけて、何万もの遺伝子の機能をいっぺんに調べる・・・僕らは畑をくわで耕すけど、向こうはブルドーザーを使っている、それくらいの違いがあるわけです。」

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<考察>

先端科学技術において、いろんな分野で日本の国際的な競争力が衰えて久しいと指摘されています。

予算規模が圧倒的に不利な中で、いかに日本は勝負するのか、真剣に考えないと取り返しがつきません。

せっかく日本で生まれたiPS細胞なのに、アメリカで全てすすめてしまいそうな勢いのようです。山中教授が国からいただく額と同じ額を、アメリカでは1つの会社や投資家から簡単に集めてしまう状況で、更に医療研究の機器の性能も高くて、その差は圧倒的に違うとのことです。

日本は、ブルトーザーにはできない細かく匠の技法などを考え抜いて、なんとかして「これがあるから日本を無視できない」と外国から一目置かれる技術を持たなくてはいけないと、主張されています。日本が蚊帳の外に置かれる寂しい状況になりそうで、バイオ産業の投資でも、アメリカの投資家は日本でなく中国ばかり向いているそうです。日本は、今、ギリギリの戦いの正念場のようです。これからの日本を支えてくれるであろう先端科学技術に、関心をもち注目する必要があります。日本の国際的競争力が本当に失われてしまいそうな現実に対して、もっと深刻に、危機感を持たなければいけないようです。