> ビジネス心理学 > みんな忘れがちやけど、自分の一番の味方は自分なんやからね。(精神科医 中村恒子)

みんな忘れがちやけど、自分の一番の味方は自分なんやからね。(精神科医 中村恒子)

<引用>

92歳の精神科医 中村恒子 54歳の精神科医 奥田弘美「不安と折り合いをつけて うまいこと老いる生き方」(すばる舎 2021年)

「・・・その時々で、自分にとってベストだと思える選択をしますが、迷ったり不安になったりします。・・・思い描いた結果に繋がらなかった場合は、なんであんなことしたのか、違う方を選べばよかったと、つい自分を責め過ぎてしまう傾向があります。・・・そんなとき、反省することは悪いことやないけど、自分をむちゃくちゃに責めるのは止めた方がええ。みんな忘れがちだけど、自分の一番の味方は自分なんやからね。」

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<考察>

本書は、世代の違う精神科医のコンビが、老後の心身の不安と折り合いをつけて、うまく老いることをテーマに会話形式で、考え方や知恵を披露します。

自分を責め過ぎない・・・失敗すると自分をとことん責めてしまう人が多い。でも自分を責め過ぎると、前にすすむエネルギーもなくなってしまいます。反省して原因を分析して、次の機会に活かすことは大事ですが、余力を残しておいた方がいいようです。「あのときは、あれがベストだったんだから、仕方ない」と自分にOKサインを出してあげるのです。私たちの体は、37兆個以上の細胞たちが不眠不休で一生懸命に働いてくれて成り立っています。この細胞たちを慈しんで世話をしてあげるのは、自分しかいないわけです。心も同じように自分で味方してあげないと、健やかに動いてくれないのです。」

人間関係のいい距離感・・・老化に合わせて、人間関係に使うエネルギーも「省エネ」にしなくちゃ。特に、自分を不安にさせてきたり、見聞きしたことを大げさに伝えてきたりする人と関わっていると元気が奪われます。ネガティブな話題には、乗らないこと。「ふーん、そう」と興味を示さないと近づいてこなくなります。トラブルになりそうな寂しがりやの人、他人への依存度が高い人と距離を上手にとること。」

漠然とした不安に襲われたとき・・・不安に襲われたときは、無意識に他人と自分を比べていないかをチェックすること、そして、自分の人生の不完全なところにばかり目を向けないことが、大切です。先のことは考えず、目の前に存在する、生きていくために必要なことに集中する。「今に集中して生きること」は、現代でも、とても役に立つ考え方だと思います。目の前の日々を大切に、一日一日生きていけば、陽はまたのぼるものです。

みんな忘れがちやけど、自分の一番の味方は自分なんやからね、に集約されるような著者からのメッセージを、ときに思い出しながら、自分を大切に、今を集中して生きたいと思います。