> 会計思考 > なぜ、借入金を返済しても、経費でないのか?それは、借入金という「マイナスの財産」が減ったのだから。(池永章)

なぜ、借入金を返済しても、経費でないのか?それは、借入金という「マイナスの財産」が減ったのだから。(池永章)

<引用>

池永章 『会社にお金が残る経営』(アスカ・エフ・プロダクツ 2005年)

「経営者の中には、「銀行の借入金を返せば、お金が出ていくのだから経費でしょう」と言われる方が多いです。たしかに、これが、自然な感覚なのかもしれません。でも、会計の世界では、ちがいます。」

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<考察>

お金の支出がある場合、すべてが経費になるわけではないです。それは分かるけど、借入金の返済は、経費になると思われがちです。この仕組みは、お金の流れに沿って、振り返ると理解がしやすくなります。

そもそも借入をしたときを、思い出してみてください。銀行から、お金を借りたときには、預金通帳に、入金されたはずです。お金という財産がふえたわけです。その後、必要な購入物への支払いを、「経費」に計上したとします。ここまでは、大丈夫かと思います。つまり、銀行にお金を、毎月返済しているときにも、その支払いを「経費」にしますと、「経費」が二重に計上されてしまいます。お金を借りて、お金が入金されたときに、収益にせずに「借入金(マイナスの財産)」が増加したわけですから、つぎに返すときは、お金が出金されますが、ふえた「借入金(マイナスの財産)」を減らすことですから、つじつまが合いますね。プラスの財産を「資産」といって、マイナスの財産を「債務」ともいいますが、借入金の返済は「債務」が減少する意味となります。