> ビジネス心理学 > 『悩みの答え』は、相手の中にある。しかし、それは本人には見えない盲点に隠されている。(和仁達也)

『悩みの答え』は、相手の中にある。しかし、それは本人には見えない盲点に隠されている。(和仁達也)

<引用>

和仁達也「プロの思考整理術」(かんき出版 2021年)

悩んでいる人は、アドバイスを求めていない

・・・相手を変えようとしなくても、思考を整理すれば相手は自然と考え方が変わります。・・・思考を整理をすると、今まで見えていなかった問題点が見えたり、自分が本当は何をしたいのかに気づけます。それに気づければ、自分で解決策を考えて、自分で動き出します。だから、相手を説得しなくても、指導しなくてもOKなのです。

・・・アドバイスでなく、こういうことですよね、とその人が置かれている状況を確認する意味合いを込めて聞くだけで、相手は共感してもらえたと感じます。・・・思考の整理は、自分が何を話すかではなく、相手に何を話してもらうかが大事です。・・・アドバイスするのでなく、状況を正しく把握する方向に話を進めましょう。・・・人は、他人から言われたことは素直に受け止められなくても、自分で決めたことは素直に従います。だから、自分で答えを見つけるように導くのが一番です。」

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<考察>

著者は、一般のコーチングを参考にしながら、凝縮したパターンとして、次の4つのステップで思考を整理することを勧めています。①仮のタイトルを決めてみて話しを始めます。②現状を確認します。③理想は何かを聞きます。④どんな条件が揃うと理想が実現できるかを聞くという流れです。

これは、状況(事実)を整理することで、感情が整うことになります。

そして、まず最初に場づくり、安心して安全でポジティブに話せる雰囲気をつくり、警戒心を解くことです。表情や言葉選びも大事です。肯定後で会話を進めると相手を心を開きやすくなります。

会議の場合は、場を和ませてから、前の人の意見が誘い水になる「積み石効果」や、ユニークで突飛な意見が「捨て石効果」となりアイデアが膨らむときもあります。

悩みごと、困りごとのモヤモヤした原因を探りながら見当をつけて、例えれば、ボーリングのセンターピンを見つけるのです。多くの人は、自分で悩みごとの核心といえる原因を見つけれなず、後ろに並んでいるピンが悩みだと思っているので、なかなか解決できないのです。思考整理は、正しい解決策の肝となる「センターピン」を見つけるための方法です。それを発見するには、相手起点で考えることや判走者に徹する姿勢、そして、脱完璧主義つまり、10人いれば10通りの思考整理があるから、正解を1つに拘らないことです。

相手の思考のクセを理解して、思考の流れを滞らせているもポイントをほぐすように、深掘りをして聞くことが大切だと指摘します。答えをじっと待ち、出来ないと決めつけているのは自分かな?、もしかしたら、やれることは存在するかも、と気づきが得られたら、相手の視界はパアッと開けるでしょう。思考を整理すると、じゃあ、やってみるかと行動を起こそうとするモチベーションが湧いてくるはずです。

世界的なマーケター、ジェイ・エイブラハムが提唱した『マーケティングのトゲ』という言葉があります。ネットショップサイトで、せっかく買う気でいるのに、入力情報が多すぎたり複雑すぎて、途中で買うのをあきらめてしまうような『トゲ』が何か?、こうした『トゲ』がどこにあり、どう抜くか、具体的に見つけて解消するかが、たしかに肝心だと思います。

著者はコンサルタントとして独立して、経営者から「どうしたら売上が増えるか、教えてほしい」「どうしたら人が育つのか、教えてほしい」と言われ、素直に正解を教わりたいと思い、自分が知っている正解(と思っていること)を、教えると不思議なことに喜ばれるどころか反発され、コンサルの不満をぶつけれたそうです。しばらくはその理不尽さに悔しい思いをしたが、まず、相手の言葉を額面通りに受け取らず、真意である相手の状況を正しく整理することが大切だと学んだそうです。経済が成熟して多様性が重視されるこの時代に、経営の正解なんてあるのだろうか?相手の状況を正しく捉えていないのに、どうすればいいか分かるわけがないと理解して、教えるのでなく、相手の頭の中をスッキリさせる「思考整理」の技術にたどり着いたようです。