> 会計思考 > 「目的」は、めざす「的」(まと)で、「目標」は、めざす「標」(しるべ)です。「利益」は、重要な「目標」のひとつなのです。(鈴木隆)

「目的」は、めざす「的」(まと)で、「目標」は、めざす「標」(しるべ)です。「利益」は、重要な「目標」のひとつなのです。(鈴木隆)

<引用>

鈴木隆「御社の商品が売れない本当の理由」(光文社 2017年)

「事業の「目的」は、ドラッカーが指摘しているように、「顧客の創造と維持」です。・・・事業の目的が利益でないとすれば、利益とはどのような位置づけなのでしょうか。・・・「利益」は、事業活動の「結果」であって、活動の指針になりません。・・・「目的」は「何のために」という意義としてのねらいであり、「目標」は、「何をどこまで」という対象や到達点です。・・・「目的」あっての「目標」、「目標」は「目的」に従うことになります。」

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<考察>

事業の「目的」は、「利益」ではない、と本書はシンプルに語ります。

伝統的な経済学では、事業の目的を利益を出すこと(利潤の最大化=企業の目的)と考えます。このような利益第一主義や利益至上主義は、現実では何故いけないのか。

それは、不都合なことが起こるからです。例えば、ニュースで繰り返し報道される各種の「偽装問題」が典型だといえます。偽装することで、原価の安いものが高く売れ、売ってはいけないものまで売れてしまう、本来得られなかった利益を手にする、こうした利益至上主義に陥ると、偽装という数字の誘惑にかられる弊害があります。

「利益」は、顧客に支持された証しとして後からついてくるものであって、顧客の創造と維持という「目的」のもとで、達成を目指すという「目標」の一つです。

本来は、「目標」であるはずの利益、「結果」をあらわす利益であるはずなのに、ついつい「目的」にすり替わりかねません。